昨日、仕事を午前中で切り上げ、京都「拾得」の飛び入りライブに久しぶりに向かった。「拾得」とは1973年創業の日本最古とも言われる老舗ライブハウスだ。ここで「アコースティック飛び入りライブデー」という誰でも15分ステージに立てるイベントが隔週月曜日に行われている。私はこの飛び入りライブに18才の頃から出演し、23才で京都を去るまで(途中1年間上京)毎回のように出演していた。3年前、音楽活動を再開させてからもちょこちょこ出演しては、オーナーのテリーさんにダメ出しをくらっていた。今回、そのリベンジの意味も込め、今の八方塞がりの状況を打破すべく乗り込んだ。
お店がオープンする五時半にはお店の前に出演者達が列を作っていた。12組で定員オーバーなのだが、幸い私はこの日、6番目の出番を確保することができた。春真っ只中の日ということもあってか、多くの出演者が押し寄せ、すぐに定員枠が埋まってしまった。音楽に人生を捧げた、普通の道から脱線してしまったような人が多い。
開演開始時間まで、一時間ほど時間があるのだが、皆、あまり話しをせず、自分の出番に向けて静かに闘志を燃やしていた。闘いの前のこの静けさ…いつ来てもたまらない。
しばらくして、オーナーのテリーさんもやってきた。出演者の誰とも挨拶を交わさず、テリーさん自ら、ステージ上にセッティングの準備をし、照明の位置などを合わせていく。各出演者のPAもすべて、オーナー自らやってくれるのだ。プロのミュージシャンですら、この店の音には脱帽させられる。拾得は蔵を改造したお店で、音に独特のぬくもりが出る。店内には木のテーブルにボンボン、畳の座敷と、非常に格式高い雰囲気が漂っている。フードも豪華で、最高の贅沢を味わえるお店だ。
6時半、張り詰めた空気の中、一番目の出演者、ジュエリーマキタが演奏を開始した。彼とは昔、あるコミューンで活動を共にした、かつての同志だ。あれから十年以上経っているのに、昔のスタイルを貫き通している彼に敬服した。その後も続々と自分のスタイルを貫き通すミュージシャンがステージ上で全力のパフォーマンスを繰り広げた。
そして、私の出番がきた。他の出演者同様、私もギター1本でステージに立った。そして、歌った。自分のすべてを込めて、計3曲。
その後も白熱したバトルが繰り広げられ、計12組のパフォーマンスが終わった。
CDが売れないことに悩んでいた自分だが、ここに来て、音楽の意義を考えさせられた。人の心を動かす音楽を奏でなければならない。自分がこれまで、優れた音楽に人生を救われてきたように。
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