今日は驚異の日本人ラッパー「SLACK」(スラック)というヤツを紹介しよう。東京板橋区のラッパーで、今年の2月に「MY SPACE」というアルバムでインディーズデビューしたラッパー兼トラックメーカーだ。
私がこの作品に出会った経緯は、今年の2月、自分の作品のリリースに向け大阪梅田のタワレコに営業に行った際、試聴機に置かれていたこの作品の不気味なジャケットに引き寄せられ、試聴して速攻買った。一聴してこれはヤバいと思った。これまでの日本語ラップの概念を大きく塗り替えている。リリックがかなりヤバい。というよりヤバすぎ。日本語がしっかり耳に入ってきて、風景がはっきり見える。韻の踏み方などのラップスキルもハンパじゃなくうまい。HIPHOPを知り尽くしたヤツが成せる技だ。
トラックは自宅レコーディングであるらしいが、普段、洋楽しか聴かないような人の耳をも唸らせるクオリティがあると思う。ヒップホップを聴かない人にもぜひ聴いてほしい一枚。
実際、この半年、CDが擦り減るほど聴きまくっている。あまりに凄すぎて、嫉妬心からホントは紹介したくなかったほどだ。
これほど凄い作品をまったく紹介しない音楽ジャーナリストに憂いを感じる。
この作品で描かれている世界観は、あくまで日常。淡々とユーモラスに日常の断片がフロウされている。
ここから先は自分の勝手な解釈だが、今までの邦楽は¨明るい未来¨を前提に描かれた歌が多かったように思う。国の借金が800兆円以上に膨らみ、景気が低迷している今、明るい未来を前提にした楽観的な歌にリアリティを感じるのは難しい。
SLACKのラップには甘い将来の見通しがない。しっかりと現実を見据えた上で¨今¨の状況をユーモラスに描き切っている。
話しは更に脱線するが、この国の貯金額はなんと、775兆円もあるらしい。世界一の貯金額がこの国にあるらしいのだ。(個人金融資産は1378兆円)。しっかりと貯め込んでる人がいるわけだ。それでいて、国がこれまでにバラまいた借金が800兆円以上というのは腹立たしさを越えて呆れてしまう。それを負担していくのはこれからの若い世代ではないか。国の借金なんてなかなか実感できないかもしれないが、日々の生活に重くのしかかってるような気がしてならない。働いても働いても実入りがホント少ない。少ない給料から三分の一が税金で取られている。自分の周りには寝る間も惜しんで働いてるヤツさえいる。それでも生活はカスカスだ。徹底した競争社会にならざるをえない社会背景がある。もっと個人的な愚痴を言うなら…いや、止めとこう。
話しを戻し、SLACKだ。彼こそ、これからの時代のラッパーだ。どこまでも気だるく、怠け者。鼻で世間をせせら笑ってるかのよう。それでいてヤバい雰囲気がぷんぷん漂ってる。リリックに愚痴がない。何気ない日常を"適当"にライムしてる。マジ、ヤバすぎ。
ps 双葉双一の新作「手に捧げる歌」がとうとう全国発売されました!名古屋地区では、タワーレコード「パルコ店」、「パッセ店」で取り扱ってるそうです。チェック!!
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