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草の根活動日記
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レコーディングも終盤にさしかかり、最大の試練が訪れた。


11月10日(月)

この日、アレンジ担当のYAMANEから、やり直しをお願いしていた音源がやっと届いた。
今回、収録される楽曲の中に『HeartBreakar』という曲があるのだが、この曲のアレンジがあまりにエッジが強烈すぎたので、もう少し音色を柔らかくしてくれるようにかなり前から頼んでいたのだ。音楽ジャンキーの彼にはこれぐらいエッジがある音のが心地いいのだろうが、私には刺激が強すぎた。今回の作品では一切の妥協をしたくなかったので、多忙な彼に何度もやり直しの催促メールを送った。しかし、まったく返事が返ってこなかった。返事が返ってこないのは昔からの彼の習性なので、今回はしつこいぐらい電話もかけまくった。それでも一度も電話に出てくれなかった。
それが、やっとレコーディング前日のこの日、無事音源が送り届けられた。しかも、彼が作ったであろうインスト曲が3曲収録されていた。封筒の中にはCD盤が一枚入っているだけで、一切のメモも説明も何も入っていなかった。
その3曲の出来は素晴らしかった。彼がこの3曲に込めた熱意がひしひしと伝わってきた。この3曲が追加されたことで、今回のアルバムがとんでもないことになりそうな予感を感じた。

私の作詩の師匠とも言える人に『水深泥』という人がいる。昔、京都にいる頃にお世話になったブルースマンだ。34才という若さで他界した彼を知る人はもはやほとんどいない。彼の死後、残された奥さんが身内だけに配ってくれたCDが彼の遺産であった。そのCDの中の歌詞カードを見ながら、今回YAMANEが送ってくれたインスト曲に何気なく当てはめてみた。すると、恐ろしいぐらいに3曲ともにぴったりと歌詞があてはまった。歌メロも天から降ってきたように出来上がった。一語一句が完璧なまでにメロディーとリズムに合致した。ここまで、膨大な言葉がぴったりと当てはまることに恐怖すら感じた。


11月11日(火)

この日は仕事を午前中に切り上げ、藤が丘のスタジオにKと入った。この日のレコーディング予定はほとんどがKのパート録りだった。
私の歌えない曲は、すべてKに丸投げした。私の歌がたどたどしい箇所もKのコーラスでカバーしてもらった。Kはいつも、私の要求に対して百倍で返してくれた。この日、何曲かが名曲へと生まれ変わった。
レコーディングもスムーズに進み、時間があったので、昨夜送られてきたばかりのYAMANEの曲に、水深泥の詩を当てはめ歌ってみた。



11月12日(水)

一夜明け、自分の中に何か引っかかるものがあった。いくら親しかった人とはいえ、死んだ人の作品を勝手にいじっていいものだろうか…水深泥という人は伝統的なブルースの曲を自分流にアレンジし、そこに詩を乗せ歌っていた。曲と詩を切り離し、詩だけ別な曲に使うというのは彼の作品への冒涜ではなかろうか…
京都時代、水深泥とも仲がよかった京都に住む、『谷次勉』に電話をし意見を求めた。
彼からは『それは、絶対やっちゃあかんことやろ』と激しく叱咤された。
水深泥の詩の中に『白い白い白い、真っ白い煙になるから、どうか空よ、うかばせてよ』というフレーズがある。
自分としては、水深泥という人を少しでも世に知ってもらえたらという思いがあった。
しかし、私のやり方は間違いであることに気づかされた。
この日、一日中考えた。3曲中、2曲は歌無しのインスト曲でいくことにしようと思う。
残る1曲は、どうしても歌がほしい曲なのだが、水深泥の歌詞がこの曲に恐ろしいぐらいにハマっていた。この詩以上の歌詞を考えるのは、不可能のような気がした。Kにもメールをした。すると、人の曲を誉めることなどほとんどしないKが『この曲いいですね』と送ってきた。
今まで、多くの音楽を聴いてきたが、この曲ほど凄い曲というのはなかなかなかった。現存するこの世の曲の中でも個人的には上位にランクされる曲だ。
夜になり、もう一度、谷次勉に電話した。『理屈ではわかってるけど、どうしてもこの詩を使いたい』…長い時間、彼と話し合った。しかし、やはり私のやろうとしていることは間違っている…そのことを受け止めなければならなかった。
私は水深泥を超えなければならないのだ。彼の作品を超える作品を作らなければならない。
今回のアルバム製作の最後の大仕事として、この曲を最高の作品に仕上げようと思う。
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